第41章 その意味は
「・・・ねぇエース、手」
前を歩くエースに、ユキはしっかりと繋がれたその手に目を向け困惑したように尋ねる。
「・・・あー、迷子にならねぇように、な?」
チラリとユキを見るエースに、迷子になんかなる歳じゃないけど・・・と少し膨れるユキ。
「夜はちょっと危ねぇんだ、この街」
その言葉に、ユキは周辺に目を向ける。先ほどまではいなかっただろう少し強面の男たちがジロジロとユキを見ている。あちこちの路地裏に集うその強面の人々からの嫌な視線に、自然とエースの手を握る手に力が入る。
それに、ギュッと先ほどよりも強く握り返されたその手に、前を向いたままの大きな背に目を向けるユキは、刻まれた白ひげのマークを見て、そうか、と納得した。
きっとここをユキ1人で歩いていたらすぐさまあのあの男たちに声をかけられていただろう。さっきナースたちといた時に声をかけられたのも、必然であったのだ。だからナースたちも早く帰ろうとしていた。そして近くにいたというエースも、この辺りの治安の悪さをわかっていたから、船の近くで待っていてくれたんだろう。
今も、こうやって手を繋ぎ、エースの背に刻まれたそのマークがなければきっと、ユキへ視線を送るその連中に絡まれていたのだ。
迷子にならないため、ではなく、ユキを危険に晒さないために繋がれたその手を見つめ、ユキはその背に一言、感謝を述べた。