第38章 綺麗なお姉様
どさっとその場に座り込むユキに、ニカッと笑いながらその頭に手を置く。
「気をつけろよ!」
その屈託の無い笑顔に、今しがた死の恐怖を味わったユキはプツリと切れた。
「何がっ!!!1番危険なのがエースよっ!!!!!!!!今能力使いたいわっ!!!!」
すごい剣幕でキレるユキに、ん?と首を傾げるエース。
エースとしては、降りにくそうだなと思って一気に飛び降りてやったのだ。その完全なる善意に、ユキは心臓が止まりそうなくらいびっくりした。せめて飛び降りるぞ、と言って欲しかった。予告されても全力で拒否していたが・・・・。
「・・・・ナースたちがいるから大丈夫だと思うけど・・・・変な男とか、危ない連中、海軍に絡まれんなよ?」
心配そうにユキの顔を覗き込み言うエースに、先ほどまでの怒りがシュウと消えていく。まるで置いてけぼりをくらった弟のようだ。ユキはその顔に笑みを浮かべ、少し項垂れているエースの頭に手を置いた。
「大丈夫、何かあっても、すぐエースを呼ぶから」
ね?とあやすように言うユキに、またこいつは・・・と呆れの表情を向けるエース。
後ろから、ユキー!とナースたちが呼んでいるのを見て、もう一度、気をつけろよ?と念を押し送り出したエース。