第38章 綺麗なお姉様
「・・・そっか!じゃあ行ってくるね!・・・・エース、また今度、一緒に回ろうね」
今回エースと一緒に降りると思っていたユキは、残念そうにそう返す。少ししておうっと元気の良い声を聞き届け、縄梯子を使い砂浜へ降りようとするユキの腰回りに、急に逞しい腕が回った。
「え」
「・・・なぁユキ・・・能力は、使うなよ」
いきなりのことに、振り返りながら尋ねる。
「・・・なんで?」
「・・・・・なんでもだ。いいな?」
やけに真剣なエースの表情に、ユキは不可解な表情を浮かべながらも、能力を使う機会など実はあまりないので気にせず頷く。
「・・・・わかった」
ユキの返事によしっと言いながら、グッとその腕に力を入れユキを抱えるエースに、何を、と見上げようとするユキは、一歩飛び出すエースの足と共に、宙に浮いた。
ふわ、とした浮遊間に、一瞬何が起きたのかわからない中、落下しだした自身の体にようやく理解する。
落ちているのだ、と。
「っキャアアアーーーーーー!!!!?」
一気に砂浜へと降り立ったエースは、抱きかかえたユキを下に降ろす。