• テキストサイズ

Time to Time ーAS・Lー

第5章 少年


島の外れまで、炎の渦から逃げてきたエースは、そこでようやくその少年とすでに息のない男を下ろした。

「・・・おじさんっ!!!ねぇ、起きてよ!!!お願い、起きて!!!」

そう縋り付く少年の姿は、見ていて痛々しかった。おい、と声をかけれるほど、エースは空気の読めない男ではない。

誰か大切な人を目の前で亡くす痛みは、エースも知っている。
そんなエースの気持ちを知ってかしらずか、少年はゆっくりと立ち上がり、未だ轟々と燃え盛る、かつて街だったところを見た。

「・・・そんな、う、そ、だろ。。。。」

呟く少年の体には、もう、力が入っておらず、ガクン、と膝から崩れ落ちた。

「なんで、僕だけ・・・・・生きてるの」

そんな悲しい呟きを、エースはテンガロンハットを目深に被りながら聞き届けた。

だが、少年が涙を流すことはなく、ただただ火の粉が上がるのを、少年は呆然と見つめていた。まるで、その火の粉の中に、今までの思い出でも見るかのように、じっと、いつまでも・・・・
/ 217ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp