第5章 少年
島の外れまで、炎の渦から逃げてきたエースは、そこでようやくその少年とすでに息のない男を下ろした。
「・・・おじさんっ!!!ねぇ、起きてよ!!!お願い、起きて!!!」
そう縋り付く少年の姿は、見ていて痛々しかった。おい、と声をかけれるほど、エースは空気の読めない男ではない。
誰か大切な人を目の前で亡くす痛みは、エースも知っている。
そんなエースの気持ちを知ってかしらずか、少年はゆっくりと立ち上がり、未だ轟々と燃え盛る、かつて街だったところを見た。
「・・・そんな、う、そ、だろ。。。。」
呟く少年の体には、もう、力が入っておらず、ガクン、と膝から崩れ落ちた。
「なんで、僕だけ・・・・・生きてるの」
そんな悲しい呟きを、エースはテンガロンハットを目深に被りながら聞き届けた。
だが、少年が涙を流すことはなく、ただただ火の粉が上がるのを、少年は呆然と見つめていた。まるで、その火の粉の中に、今までの思い出でも見るかのように、じっと、いつまでも・・・・