第35章 約束
「なーに作ってんの?」
「サッチさんっ!」
あらかた朝ごはんの時間が終わり、その食器を片付けると、なんでも好きなものを作ってもいいと言われたユキ。フンフーンと鼻歌を歌いながらあるものを作っていると、後ろからサッチがその手元を覗き込む。
「これ・・・」
「はいっペペロンチーノです!無人島ではパスタが手に入らなくて作ってあげられなかったんですけど・・・・喜びますかね?」
少し恥ずかしそうに言うユキに、ニヤニヤと笑みを浮かべるサッチは、最近拗ねたように食堂を出る末弟を思う。
「ユキちゃんが手伝ってくれるようになってから、ずっと俺が独り占めしちまって拗ねてたからなぁ・・・・喜ぶぞ、きっと」
にっこりと笑うサッチにユキはホッと安堵したが、聞き慣れない言葉に首を傾げる。
「・・・拗ねてました?」
わかってなかったか、とサッチは苦笑する。この分じゃエースの好意にも気づいていないんだろうな、と思いながらもその頭をクシャりと一撫でする。