第33章 コック
「よく働く妹ができたみたいで、4番隊は活気付いてんねぃ」
「・・・妹、ね」
じろりとユキに向けて下世話な視線を向ける奴らに視線を走らせるエース。食堂にてユキを見ていた者たちの背にゾッと悪寒を走らせた元凶をマルコはベシッと叩く。
「・・・・過保護になりすぎだよぃ。大体、あんだけ『俺の女』宣言してたんだぃ、手ェ出すヤツがいると思うかぃ?」
呆れた目をエースに向けるマルコ。この船にいる奴らは全員ユキのことをこう認識している。
『エース隊長の女』
『オヤジの覇気にびくともしなかった女』
「・・・・俺のじゃねぇよ」
「?」
何を冗談を、あれだけ初日に皆を威嚇し、宴の場で牽制していたくせに、今更何を言うのかと眉を寄せるマルコ。だが、席を立つエースが残した言葉に、テーブルに肘をつきながらため息を吐いた。
「・・・ったく、厄介なやつに目をつけられたもんだねぃ」
まだ、な
そう呟いたエースに、マルコは同情の目をキッチンであくせく働くユキに向けた。