第30章 歓迎会
「・・・あの、」
「ん?・・・あー!悪い!俺はサッチってんだ!よろしくな、ユキちゃん!一応ここではコックをしてる!何か食べたかったら、なんでもリクエストしてくれ」
人の良さそうな笑顔でサッチさんはそう言う。コック、という言葉にユキはきらきらと目を輝かせた。
「じゃあ、ここにある料理も、全部サッチさんが?!」
「おうよ!うまいから食ってみな」
そう言いながら取り分けてくれるサッチさんに、ユキは感心した。海賊はもっと、荒くれ集団のようなもので、こういった気など回せないと思っていたのだ。
渡されたお皿いっぱいに取り分けられた料理に、どれから食べようかと悩むが、1つに目をつけそれを一気に口に含んだ。
「っ!!!!!」
途端に先ほどよりも目がキラキラと輝くユキに、サッチは頬を緩ませた。
「おいっしい!!!こんな料理、食べたことない!どうやったらこんなにっ・・・・サッチさん!弟子にしてくださいっ」
早口に立てられるその褒め言葉にサッチは照れると同時にええ!?と驚きの声をあげた。
「もしかしてユキちゃん・・・料理好きか?」
「はいっ!ご飯は人生で1番大切なもの、美味しいものを食べるとその日を幸せな気持ちで生きれる、最高に楽しいことですっ」
尊敬の目でサッチを見てくるユキに、サッチは感動した。
「わかるっ!!!うめぇものを発見した時のあの幸福感っ!!!何度味わっても飽きないね」
「そう!そして美味しいものを大切な人に食べてもらえること、それを幸せそうに食べてくれること、それが何よりの生きがいですよねっ!」
「おうよっ!うまいうまいと頬張るあいつらの顔ときたら。。。。もうっ生きててよかったってなるよな!」
ガシッと手を組み合わせる様子は、初対面だったものではない。すっかり意気投合してしまったサッチとユキに、ゴホン、と遠慮がちに声がかけられる。
「あー、仲良くなるのはいいがよぃ、俺たちも自己紹介していいかぃ?」