第30章 歓迎会
「ようこそっ白ひげ海賊団へ!!!!」
パンパーン!と鳴らされるクラッカーの音に、あんぐりとその口を開けるユキ。
一体何事か、と思い甲板をよく見てみると、何やら宴の準備のされた様子。どれほどあるか分からないほどの大皿に盛り付けられた美味しそうな料理。そしてその辺りに並ぶコップ。
「・・・これって」
一体、と目を丸くしたままエースに振り返ると、ニカッと笑顔を返される。
「ユキの歓迎会だっ」
「っ!」
さぁ、入って入って、とフランスパンのようなリーゼントをした男に手を引かれ、席の真ん中に座らされる。
皆、準備はいいかァーー?
そのリーゼントの人が確認をとると、おうっとあちこちから元気な声が聞こえてくる。さ、ユキちゃんはまだ子供だからこれね、と渡されたものにはジュース。
そのリーゼントの人は自分のジョッキを持ったまま、それを上に高くあげた。
「新たなかわい子ちゃんに・・・・」
「「「「「「「かんぱーーーーーい!!!!!」」」」」」」
この大きな船が揺れるほどの乾杯の音頭を合図に始まった宴に、ユキは頭が真っ白になった。助けを求めるように泳がした視線は、ここに連れてきた肝心のエースに注がれるが、エースは遠くでユキを眺めているだけだ。
「なぁユキちゃん!なんでエースなんだっ?」
隣で興味津々に聞いてくるリーゼントさん。固まるユキに気づいたのか、お?とその顔を硬くした。それを感じ取ったユキはすぐに笑顔になり、その場をなんとか取り繕う。
「えっと、エースは3度も・・・・いえ、もう何回になるか分からないくらい助けてもらった、大恩人なんです!」
ニコッと当たり障りのない言葉を口にすると、そのリーゼントさんはくあっいいねぇ青春だねぇ!!とよく分からないことを言いながら手元にあるジョッキを口に運んだ。