第28章 海賊の流儀
「・・・で、エース。あれは?」
「おぅ、あの時のやつだ!船に誘った!親父に言ってくるっ」
「待て待て待て待て、あれ、あの時のガキだろぃ!?船に誘ったぁ!?なんでそんなことになった!?」
慌てて駆けて行こうとしたエースを引っ掴み、マルコは掴みかかった。あの時の『ガキ』と言う言葉に、集まっていた皆も目を丸くする。
あの日、エースに連れられやってきた火傷をした少年、あれが今やどっからどう見ても女にしか見えない出立ちでじっとエースの方を見守っっている。
「あーーーーほら、まぁ、色々あってな、いいやつだぞ!」
ニカッと笑う末弟にくら、と眩暈のする長男は、わなわなとその肩を震え出す。お、おいマルコ?とサッチが止めに入る前に、マルコの怒鳴り声が甲板に響いた。
「バカ言ってんじゃねぇ!!!!女を、しかもガキをこの船に乗せられる訳ねぇだろぃ!?ここがどんなに危険な場所か!!何考えてやがんだっ!!女子供を乗せるほど、甘ぇ環境じゃねぇぞ!!!」
キーーーンとするその声に、サッチは耳を塞ぎながらあちゃーっと額に手を当てた。
「・・・まぁエース、俺も同意見だ。安全な島でおろしてやるのがいい」
そう言いながらフォローするサッチは、マルコに掴みかかられたままその意志の強い瞳を覗かせたエースを見て、いち早く次の展開を察してしまった。
「俺が気に入ったんだ。絶対に船に乗せる」
「「「「「!!!」」」」」
ギロッとマルコを睨み返すエースに、皆目を見開いた。真剣な顔をするエースに、マルコはさらにあ”あ”?と低く唸る。
すると、後ろから腹に響くような笑い声が聞こえてきた。
「グララララララっ!なんだ、兄弟喧嘩か、息子たちよ」