第2章 居場所=三ツ谷隆
ブカブカのスウェットに濡れた髪 オマケに眼鏡をかけていない素の顔を明かりの下で初めて見てトキメかない訳ない
「いや、ちゃんと温まったようで何より」
思わず目を逸らしてよく分からない事を口走った
「え?あぁ、湯船につかれてポカポカ」
そう言うの髪からポタっと滴が落ちた
「ほら、髪の毛濡れたままじゃ折角温まったのに風邪引くぞ 乾かしてやるからこっちこい」
「いやっ!自分で出来るから!」
赤くなって拒否するに何を恥ずかしがっているんだと首を傾げるがハッと気が付く
「ごめん!ルナマナ達の髪を何時も乾かしていたからつい癖でっっ!」
慌てて謝る三ツ谷は何時も風呂から上がった2人の髪を交互に乾かす癖が付いていて思わずにも同じ事を言ってしまった
習慣ってなんて恐ろしいんだろうと自分の発言に反省する
「ん〜ルナマナちゃんにしてあげてるなら私もしてもらおうかなぁ〜なんて…」
何だか三ツ谷が慌てているのが珍しくてもう少しだけ見ていたくてそんな冗談を言うに目を丸くした
そう言ってクスクスと笑うにからかわれているのだと三ツ谷は気が付くとお返しとばかりににっこりと笑った
「そうか!そんなに頼まれたらしないのも失礼だよな」
言いながらドライヤーをいそいそと用意してコンセントにプラグを差し込むと準備万端というように三ツ谷の前に座る様に促した
「ゔっ…!」
冗談をうまく返されたうえに逃げ場の無い状況にはぐぅの音も出なかった
「…じゃあお願いします」
小さく呟くとはトコトコと三ツ谷の前にストンと腰を下ろした
「…じゃあ熱かったら言ってくれな?」
三ツ谷の声がそう聞こえるとカチっという機械音と共に温かい風がを包んだ
誰かに髪を乾かしてもらうのなんて亡くなった母がしてくれてた以来だなと思ったら何だかムズムズした