第2章 居場所=三ツ谷隆
「…じゃあ、先に風呂に行ってくるけど ちゃんとすぐに帰れるようにしておけよ?」
「うん、わかった」
彼女に押し切られるような形で着替えを持って浴室に行こうとする三ツ谷はをじっと見ていたが早く入ってこようと思い、扉を閉めた
シャワーを頭から被りながら三ツ谷は先程のの表情が頭をよぎった
出会って間もないのにこんなにもスルスルと胸の中に入ってくる女は初めてだった
自分に近寄ってくる大半は歳に似合わない服装、化粧、香水を撒き散らして獲物を捉えるかのような目をしている奴らばかりだった
一部の奴ら、例えば三ツ谷が所属している手芸部の女の子は別だが
どちらかといえば手芸部の女の子達と同じ様な印象を初めは持った
化粧も何もしていなくて大きな眼鏡が特徴、そしてルナとマナに良くしてくれたからいい子だなと単純に思っただけ
それなのにどうだろう、いつの間にか三ツ谷の中でという存在が膨れ上がっている
料理を美味しいって言って泣いてくれたのも その眼鏡の奥にある瞳が綺麗で、メガネを取ったら目を閉じてても分かるくらいに睫毛が長く綺麗でずっと見ていたいと思ったのもきっと彼女に惹かれている証拠だ
あっさり心奪われて周りに単純だとか惚れっぽいなんて言われてもいいくらいに三ツ谷の中で大きな存在になっていた
風呂から上がり、ワシワシとタオルで濡れた髪を拭きながら出てくるとは先程と同じ様に居間のテーブルの前に座っていた
先程と少し違うのは何故か正座をして神妙な顔をしてるという事
「何?どうした?」
何か言いたげな様子のに言いやすいように自分から問いかけた
するとは1度何かを言い掛けて口をつぐみ、意を決したように口を開いた
「あのっ、泊めてもらうことは可能ですか?」
三ツ谷の持っていたタオルが床に落ちた