第2章 居場所=三ツ谷隆
最後のスープを飲み終わってひと息つくと三ツ谷はに向かって「ご馳走でした」と手を合わせた
「お粗末でした」とは言うと三ツ谷が食べた後の皿を片付けようとした
「あっ!俺がするから!」
そう言って立ち上がろうとする三ツ谷をは更に制した
「たまにはゆっくりしてて あっ!そうだった」
は言いながらキッチンへと向かうと小さな皿に乗ったお菓子を差し出してきた
「ルナちゃんとマナちゃんと一緒に作ったの デザートにどうかな?」
三ツ谷の目の前には皿に乗ったカップケーキが置かれた
「いいのか?俺が食べて」
「勿論、三ツ谷くんの為に作ったんだから」
カップケーキを手にとって口に運ぶと口の中を甘い味が広がった
「ん?これって…」
口の中に仄かに広がる味にを見た
「三ツ谷くんならすぐに分かると思ってた 隠し味に蜂蜜を入れてるの」
「飯まで作ってもらってデザートまで…」
カップケーキを平らげるとお腹は満たされたのは勿論、心まで満たされたような気がする
「こちらこそ誰かと一緒に何かを作るのは楽しいから」
いつも家で事務的に食事を作っているはルナマナと共に何かを作るのは楽しかった
そして自分の作るもので笑顔になってくれるのが何よりも嬉しかった
「あ、でも折角上手くカップケーキ出来たのに家族や友達にやらなくて良かったのか?」
三ツ谷は何気なくに聞くとほんの少し動きが止まるとにっこりと微笑んだ
「…大丈夫」
笑ってそう答えたが三ツ谷はの目の奥が何となく笑っていないような気がした
「あ、そろそろ送って行くよ」
そう言いながら立ち上がる三ツ谷には「あっ、先にお風呂に入ってきたら?その間に片付けて帰る準備するから」とまた三ツ谷の手を制す
「え…でも…」
早く家に送らないと家族が心配するんじゃないかと不安の顔をに向けると何が言いたいのか何となく分かったは「私は大丈夫」と言うように笑った