第2章 居場所=三ツ谷隆
「あれ?篠崎さん、何か機嫌がいいね」
教室に帰ってくるとクラスメイトの女の子が香織にそう話し掛けた
「うふふっ、三ツ谷先輩の暴走族の集会に行く事になったの」
「へぇ、すごーい!私も行ってみたいな」
そう感嘆の声を上げるクラスメイトに得意げな顔をした
「まぁ、私くらいにならないと参加出来ないのかもね」
あたかも自分が誘われた様に話す香織に羨ましそうな視線をクラスメイトは向けた
香織はこの羨ましそうな視線が好きだった
まるで自分が中心にいるような、注目を浴びているような感覚に陥る
だから三ツ谷の事も一目惚れもあるが彼の側にいればずっと一目置かれる存在になれる
その為にはどんな方法でも彼を射止めなければならない
取り敢えず集会に参加して彼の周りの友達と仲良くなり外堀を埋めなければいけない
香織は目立つようにバッチリメイクをしなきゃなと夜の為の準備に思惑を巡らせた
その頃携帯をじっと真剣に見ながら三ツ谷はメールの内容を何度も何度も読み返してはどう返そうかうんうんと唸る
からのメールは至ってシンプルだ
『こんにちは、今日ルナちゃんとマナちゃんに会いに来ていいですか?』
三ツ谷は今すぐにでも『勿論!』と送りたい だけど今日は前と同じ集会のある日だ
本当ならルナマナ達と存分に過ごしたい だけど集会も大事だから悩ましい
『ごめん、凄く嬉しいんだけど今日は俺が集会で出掛けるんだ』
そう泣く泣く返すとすぐにから返事がきた
『良かったらこの前みたいに私が見てましょうか?』
それはまた俺が帰ってくるまでいてくれるということか!?と目を輝かせていると付け足すようにまたからメールが来た
『やっぱり迷惑ですか?』
『まさか!よろしくお願いします!』
すかさず返事を返すと『じゃあ、夕方お邪魔しますね』と帰ってきた
その返事に三ツ谷はに会うまで楽しみすぎて鼻歌まで零していた