第2章 居場所=三ツ谷隆
家に帰り着いたは自分の部屋に戻る前に飲み物でも持って上がろうかとキッチンへと向い冷蔵庫を開けた
冷蔵庫には冷えたミネラルウォーターが常備しており、その一本を取り出すと早く自室へ行こうとするといつの間にか香織がリビングの入口に立っていた
「何朝帰りしてんの?地味子の癖に」
「……。」
「あ、もしかして朝帰りする自分格好いい〜なんて思ってないよね?」
香織はクスクスと笑いながら憐れんだ視線をへと向ける
「そんなダッサイ眼鏡かけた女 誰が相手にするっていうのよ」
「おいおい、香織 そのダッサイ眼鏡かけさせたのお前だろう?そう言ってやるなよ」
後から入ってきた修哉は相変わらずにやにやとしながらそう言う
は浴びせられるバカにしたような言葉の数々を無視して自室の2階へと駆け上がる
あのキョウダイは人を自分より下だと決め付けた行動を取る
特に香織は自信過剰にも程がある、それをまったく気が付かないのは才能なのか
自分が言えば大抵のワガママは通ると思い込んでいる
が付けているこの眼鏡も香織に「私より目立たないでよ!」などと理不尽な事を言われて半ば無理矢理かけさせられた
は香織が気が済むならと何も言わずに従ってきた
逆に反抗して扱いが余計に酷くなることは見に見えていたから
だからお洒落もせず化粧もせず、なるべく目立たずに過ごす事だけを考えていた
部屋に入ると窓を開けて外の風を取り込んだ
久し振りにぐっすりと眠れたからとても頭がスッキリしてる
は深く眠れた喜びでいっぱいだった
この家ではぐっすりと眠れた試しがないから