第2章 居場所=三ツ谷隆
「…本当にここでいいのか?」
「うん、急にバイクで帰ってきたらみんなビックリするから」
そう言って下りたのはの家からほんの少し離れている路地だった
「みんな?」
「あぁ、お兄さんとお姉さんがいるの」
ヘルメットを外しながら言うの言葉に それもそうかと三ツ谷は思ったがの独特な言い回しに少しだけ違和感を覚えた
確かに家の前までバイクで帰ってきたことに驚かれると思うがそれ以上にネチネチと嫌味を言われる事が目に見えている
そんなみっともない場面を三ツ谷には知られたくない
「送ってくれてありがとう」
そう言って歩き出そうとするに三ツ谷は慌てて止めた
「あのっ!携帯の番号、交換しないか?」
「へ?」
三ツ谷の申し出には振り返る
「あ、いや、ルナとマナがさんに会えるの凄く喜んでるから これからもちょくちょく遊んでくれねーかなと…」
三ツ谷はルナとマナを引き合いに出すなんて必死すぎるだろうと自分で自分を嘲笑ったが今繋がりを持っておかないとまた会うことは困難だと思った
「…いいよ」
「良いのか!?」
一瞬、躊躇った様に視線を彷徨わせたは二つ返事で頷いた
「私もまたルナマナちゃんと遊びたいし…」
そう言いながらポケットから携帯を取り出すに三ツ谷も慌てて自分の携帯を取り出した
「…じゃあ また」
番号を交換し終えるとはくるっと背を向けて歩き出した
「連絡するから!」
そう三ツ谷はの背中に向かって叫ぶとは少し振り返り、照れたように笑うとそのまま角を曲がって見えなくなってしまった
残された三ツ谷はから番号を聞けたことと、自分に向けて笑ってくれた出来事が嬉しくて上機嫌で家に帰るとルナマナに「お兄ちゃん、気持ち悪い」と不評だった