第2章 居場所=三ツ谷隆
料理を持って行くと両脇にベッタリとルナマナがくっついていて相当気に入っているようだ
そんな様子のルナ達の前に作りたてを置くとさんの目がキラキラしだした
こんなに目を輝かせて喜んでくれるのは久し振りだなと思いながらもどうぞと勧めた
「美味しい…」
そう口にする彼女にほっとしたような顔をみせると
「そう言って貰って嬉し…えっ?!」
彼女の言葉に素直に嬉しいと返そうと思ったが目に入ってきたのはポロポロと涙を流しだしたさんの姿だった
突然の事にギョッとしていると隣りにいたルナやマナが心配そうにしていると彼女は「美味しくて感動しちゃった」と付け加えるように笑った
その涙が本当に感動した時の涙なのかは分からない、だけどその意味を深く追求するにはまだ距離が遠い
ただ無難に「泣くほど嬉しいなんて作ったかいがあったな」と返した
それから暫らく当たり障りのない会話をしていた
時計が6時前を指そうとしてる頃にさんが家に帰ると告げてきた
俺が送ると言ったが まだ外は明るいから大丈夫だの一点張りだった
結局あまりしつこくするのもなと思いながら次はいつ来てくれるだろうと期待した
ルナとマナが次の約束を取り付けたけどそれがいつなのかは曖昧にされた
俺は約束を有耶無耶にされたくなくてそれから毎日あの公園に出向いた
だけど中々会えるはずもなくこのまま忘れ去られてしまうんじゃないかと思った1週間目のある日 いつもの様にルナとマナを公園に迎えに行ったら遠目で2人が誰かに抱きついていた
早る鼓動を抑えて近付くと ずっと探していた人物が目に入った
「そんなに勢い良く抱き着いたらさんが倒れるだろう こんにちはさん」
なるべく平静を装うように声を掛けた
「あ…こんにちは」
そう返事を返してくれたさんは少し戸惑ったように瞳が揺れていた
「あ…もしかして何か急いでたか?」
「あっ!いえ、特に用はなかったので」
ワザとそう聞いたのにちゃんと正直に答えてくれる事に安堵する
本当に嫌だったら嘘でも用があるとでも言うだろう