第2章 居場所=三ツ谷隆
〜三ツ谷視点〜
「おっ、三ツ谷遅れてくるっつってなかったか?」
インパルスを停めて仲間の元へ歩いて行くと先に来ていたドラケンこと龍宮寺堅が声を掛けてきた
「あぁ、ちょっとな」
曖昧な返事をする三ツ谷を特に誰も気にしなかった
彼を除いては
「あれ?タカちゃん、今日ちょっと機嫌がいい?」
ヒョコッと横から三ツ谷を見てポツリと呟くのは三ツ谷の事を良く知る柴八戒であった
「えっ?マジで?全く気が付かなかったわ」
マジマジと見つめてくるドラケンの視線から目を逸らすと三ツ谷は八戒をジロリと睨んだ
「おい、当てずっぽうに言うな」
「え〜…そんなわけないんだけどなぁ」
まだ何か言いたそうな八戒を置いてスタスタと集会場所へと歩き出す
どんな顔しているのか分からないがこのままこの顔でいると有る事無い事聞かれそうだと自分の頬をペチペチと叩く
きっと思いの外、彼女に『行ってらっしゃい』と言われたのが嬉しかったんだと思う
初めて見たときにルナマナに向けた笑顔が印象的だった
彼女はハッキリ言って髪は真っ黒で肩まである髪を2つに結んで少し大きい眼鏡を掛けていて いかにもザ・優等生って感じの雰囲気だった
だけどその眼鏡の奥の瞳がとても優しそうだった
なんだか異様にルナマナが初対面の彼女に夢中だから自分自身も興味を持った
もう少し話してみたくなってお礼という名目で家へと誘った
最初は物凄く遠慮していたがルナとマナの押せ押せ攻撃にもう一声というように声を掛けたら誘いに乗ってくれた
内心ヨシっ!とガッツポーズしたかったがそんな素振りを1ミリも見せずに平静を装う
家に招待した彼女は初めはソワソワと落ち着かない様子だったがルナマナと一緒に遊んでいるにつれて顔の表情が少し柔らかくなっていたような気がする
俺はそんなルナマナと彼女の声を聞きながら夕食の準備に取り掛かった
今日はちょっと予定を変更してパスタにしよう
そう思いながらゴソゴソと冷蔵庫の野菜室を漁る
トマトにタマネギ、ピーマンもあるからナポリタンにでもしよう そう決めたなら手を洗って戻ってきたさんに「ピーマン食べれる?」と聞く
大丈夫だと確認したのなら慣れた手付きで料理を作っていく