第9章 私はモブになりたい
「ーーよしっ!出来た!はいっ!ノート」
書き終えたノートを乱暴にの胸へと押し付けると「あっ、朝のHR始まる前におトイレ行こうっと」そう言ってイスから立ち上がると軽い足取りで教室を出ていこうとする その後を「あっ、私も一緒に行く〜」と言いながらパタパタと取り巻きの子達が付いていった
「さん大丈夫!?」
彼女達が出ていくと すぐにクラスの子たちが近付いてきた
「いつもは黙って渡してるのに今日は反抗してたからビックリしたぁ」
周りの子たちの反応を見るにいつもの光景なのだろう
というか助け舟くらい出してくれてもいいのに
生前の記憶と今の記憶がごっちゃになってる頭で浮かんだのはいいクラスメイトには巡り合わなかったということだ
「姫野のヤツきっとさんが可愛いから気に入らないんだよっ!」
近くにいた男の子が力説するように口にする
「ははっ…御冗談…」
え?くだらなくない?あ…でもそんな事でもイジメの対象になるのか…小学生怖っ!
う〜ん でも容姿はどうする事もできないからなぁ…
そうこう思いながらも彼女達が戻って来たらササッとさり気なくクラスメイト達は散っていった
その日は朝の出来事意外に特に何もなく1日が過ぎていった
家に帰り今日は母と一緒に夕食を食べる事ができ、私が寝る頃に母は夜勤へと出掛けて行った
暗い部屋で肩まで布団を被り頭の中を整理してみる
今の人生の『ワタシ』という存在は小学6年生であの姫野っていう子に事あるごとに目の敵にされているということ そしてその事態を黙ってビクビク怯えていて母にも迷惑をかけたくなくてずっと黙っているという事
確かに小学生にしてみたら彼女達の様な存在は恐怖だろう
だけど今の『ワタシ』には26の頃の記憶もある訳で
「…やられたらやり返すよねぇ…」
と小さく呟いて眠りについた