第9章 私はモブになりたい
「今、何か言った?」
ギロリと睨む彼女の表情に特に気にする事もなくプイっとそっぽを向いた
「別に?どうぞ気にせず写して下さい」
この子は確か…姫野さんだったかな?
必死でノートを写しているポニーテールの少女と記憶を照らし合わせてみる
そしてこの取り巻きの様に引っ付いてるのは前髪ぱっつんの横井さんと三つ編みの沢田さん…だったろうか
それを遠目でクラスメイトが少し怯えた目で見てるということはこの子達がクラスの中心って感じなのだろう
「ねぇ、どうして私の答えを写すの?」
「はぁ?」
の言葉に初めて口答えをされたのか、少し不機嫌そうに顔を上げた
「宿題って自分で考えるから身に付くものでしょう?」
「うるさいわねっ…ていうかいつもみたいに黙ってなさいよ!」
そう言うと またノートを書き写しだした
きっとこの光景はいつもの事なのだろう
周りは何も言わずにただ黙って見ているだけだ
(まぁ、小学生なら怖く感じるか)
きっと誰か口出ししようなら今度は自分自身がターゲットとなる
自分から進んで標的にはなりたくないだろう