第9章 私はモブになりたい
一刻も早くその場を去りたいの背中に別の人物の声が聞こえた
「1人じゃ危ねーだろ、送ってってやるよ」
その声の主へとはゆっくりと振り向くと
思わず『ひぃっ!』と叫びそうになった
長髪の見た目怖そうな人物はきっと『場地 圭介』だ
「何だ、場地 親切じゃん」
「はぁ?俺はただこんな時間に一人で帰るのは危ねーんじゃねぇかって思って…」
「それが親切っつってんだよ」
苦笑する様に笑いながら三ツ谷が口にする
「あ…あの!お気持ちだけ貰っておきます!ありがとうございます」
マズイ!このままだと彼らと深く関わり合いになってしまう!私は遠くから見ていたかっただけなのに!
すぐにこの場から離脱しなければ!!
そう悟ったは慌てて早口で捲し立てると軽く頭を下げてクルッとすぐに向きを変えて走り出した
「あっ!おいっっ!」
場地が声を掛けて止める間もなく走り去ってしまったの後ろ姿にポカーンとしていた
「くくっ…逃げられてやんの」
場地の後から佐野 万次郎ことマイキーが可笑しそうに笑いを堪えている
「…お前は昼間に逃げられただろーが」
ペシッと軽くの頭を叩きながら龍宮寺…ドラケンが呆れた声を出す
「あの子、逃げるのが趣味なのか?」
すでに見えなくなったの走り去った方向を見ながら呟くドラケンに「ねぇケンチン」とマイキーが声を掛けた
「逃げられると追いかけたくなるよねぇ」
と笑顔を向けられてドラケンは大きなため息をついた
「…程ほどにしておけよ」
こうなったマイキーを止めるのは至難の技だ
せめて早く飽きてくれることをドラケンは心から願った