第9章 私はモブになりたい
現実の中ではこの人達ってデカい!…いや、自分自身が小さいのか
とにかく退路を絶たれた!
「いや、お前らどっちにもビビってっから ほら、この子怖がって声も出ないじゃん」
どうやって逃げ出そうか頭を巡らせるが突然の出来事にの頭の中はパニック寸前だった
そんな時にを挟んでいる2人に声を掛けたのはパープル頭の男の人だった
「何だよ三ツ谷 何後から出てきて良い人ぶってんだよ」
「いや、この状況 誰だって良い人に見えるからな?」
呆れたように言いながらやって来たのは 私の記憶が正しければ『三ツ谷 隆』なる人物ではなかろうか
「俺はただ 昼間に見たヤツがいたから声掛けただけで別に怖がらせるつもりは…」
ごにょごにょとバツが悪そうに口籠る人物はきっと『佐野 万次郎』でその向いにいる大きな男の人が『龍宮寺 堅』だろう
マジマジと無言で観察しているに視線に気が付いたのか佐野 万次郎はじっとの顔を見つめ直した
「なぁ、そんなに見つめるって事は俺の事覚えてる?」
忘れるわけない 録画してあったものを何度も穴が空くほど観返した人物が目の前にいる現実
人ってありえない状況が起こると意外に冷静になれるんだなって身をもって知った
「はい、あの時はビックリして逃げてしまってゴメンなさい」
ペコリと頭を下げながらそう言うと佐野万次郎は丁寧な言葉に「いやっ、こっちこそ驚かせてゴメン?」と釣られるようにしなくてもいい謝罪をした
「っていうか、こんな夜に外に出てると危ないぜ?」
「ここに何か用事があったのか?」
「あ…ここに落とし物をしたのに気が付いて夢中で探していたら暗くなっちゃってて…」
事前に用意していたリボンのヘアピンを見せると「ママから貰ったものだから」と言いながら大事そうにカバンにしまった
見つかったときの言い訳として持ってきていたのが役に立った
「そっか、見つかって良かったな」
「はい、それじゃあ…」
三ツ谷の言葉に曖昧に返事を返すと そそくさとその場を後にしようとする
「おい、待てよ」