第9章 私はモブになりたい
生前の私の母は『母親』ではなかった 自分の利益にならない事は興味がないみたいだ
母は有名な弁護士で当然 娘であろう私も弁護士になるだろうと決め付けていた
ただ、私は他の人より学があっても母以上にはなれない事は目に見えて分かっていたし 正直私には弁護士になりたいなんて欠片も思っていなかった
1度「私は弁護士になりたくない」と小さな反発をした すると母は見た事ないくらいに激怒した それこそ弁護士だからなのだろうか、体に残るような体罰などはなかった その代わり『言葉の暴力』はその日を境に毎日の様に浴びせられた
「どうしてお母さんの言う通りに出来ないの」
「弁護士になれないアンタなんて価値がないのよ」
「育て方を間違えた」
そんな殺伐とした家庭に余程嫌気がさしたのか父はいつの間に出来ていたのか 浮気相手の元へと出て行った これは無理もないと思う
母はそれさえも納得がいかないのか益々暴言はエスカレートしていった
「どうして他の女の元へといったの!?」
「私以上に完璧な女はいないのに!」
「アンタが言う事聞かないから私が子育て失敗したと思われたじゃない!」
そんなモラハラめいた言葉を高校3年まで受け続けた
状況が一変したのは高校3年の後半 私は勝手に決められた大学の入学試験を白紙で出した
私はまだ ほんとに淡く希望を抱いていた
あれだけ暴言を吐いても 結局の所 血の繋がった家族なんだから これだけ意思表示をすれば分かってくれると
浅はかな考え