第2章 居場所=三ツ谷隆
暫らくしてリビングに戻ってきたは机の上でそのまま放置されている食べ終わったお皿を流しに持っていくと水道の蛇口を捻って洗い出した
皿を乾燥機にかけながら先日、ひょんな事から家にお邪魔した あたたかい雰囲気のあの家に思いを馳せる
あんな風に居心地のいい食事をしたのは何年振りだろうか
「美味しかったな」
ポツリと呟くのはこの家で食事をするときはあの2人より後で冷めきってしまっている
それに一人でもそもそ食べるのは味がしない
だから三ツ谷の家で食べたナポリタンは味がして凄く美味しかった
それから暫らくしてはまたあの公園の前を通り過ぎようとした
「あ〜!姉ちゃん見つけた!」
「うひゃっ!」
後ろから何かに抱き着かれて思わず声が出てしまった
振り向くとそこにはベッタリと張り付いているマナの姿があった
「えっ!?マナちゃん?!」
「あー!マナばっかりズルいの!」
そう聞こえると今度は真正面からドンっと衝撃が走った
「ルナちゃんまで!」
正面から抱き着いてきたのはルナであって前も後ろもベッタリと張り付いて離れない2人にどうしようかと困惑していると今度は楽しそうに笑う声が聞こえた
「そんなに勢い良く抱き着いたら倒れるだろう こんにちはさん」
ゆっくりと歩いてきたのは三ツ谷だった
「あ…こんにちは…」
もう会うことはないと自分の中で決めつけていたのでこの状況に戸惑いを隠せないはその感情が顔にも出ていたのであろう
「あ、もしかして急いでる?それなら悪い」
「あっ!いえ、別に急いでる訳でも用事があるとかないので!」
思わずそう否定すると三ツ谷はホッとしたような顔を見せた
「それなら良かった この間はちゃんと帰れたか?」
「へ?あぁ、勿論!まだそんなに暗くなかったので」
「それでも女の子が一人で帰るんだから心配だろ」
そうガシガシと頭を掻きながら言う三ツ谷の姿に感動する
もう何日も前の事なのに気に掛けてくれたことが素直に嬉しかった