第2章 居場所=三ツ谷隆
家に着いて玄関のドアを開けるとそのままリビングを通って自室へと戻ろうとした時に後ろから声をかけられた
「何だもう帰ってきたの?」
「香織姉さん…」
背後に立っていたのは同い年だけど姉と呼ばれた香織と呼ばれた女だ
「アンタの分のご飯ないから」
「……そう」
ふいっといつものことだというように彼女の言葉を聞き流しているとソファの方からクックックッと笑う声が聞こえた
「おい、よさないかキョウダイなんだから可哀想だろう?なぁ」
ソファから顔を出したのは高校生の兄、修哉だ
この兄はいつも人の事を舐めるように見るから苦手だ
「…お気遣いなく」
「おいおい、折角キョウダイになったんだからそんな他人行儀な言葉止めようぜ」
変わらずににやにやと見てくる2人には無言で階段を上がって自室に逃げ込んだ
部屋にカギを掛けて倒れ込むようにベットへと飛び込んだ
ふとベットへと寝転んだまま視線を移せば机の上に置いてある写真立てへと手を伸ばした
「今日ね、久し振りに温かいご飯食べたんだよ」
そう言って話しかける写真の人物は笑顔を向けながらを抱きしめていた
「母さんのご飯みたいにポカポカしたよ」
と笑いかけた