第8章 どんな君も=佐野万次郎
今日はマイキーくんと一緒に帰る約束をしていたのでは待ち合わせの場所へと足を向ける
ここ最近、自分がマイキーくんに対して何故かモヤモヤとしている事は自覚していた
だけどそのモヤモヤが一体何なのか 何故モヤモヤするのかは分からなかった
この正体が分かれば少しはスッキリするのだろうか、悩んでも答えは未だに出なかった
待ち合わせの場所ではマイキーがベンチに座って足をぷらぷらとさせていた
はその後ろ姿に「マイキーくん」と声をかけた
「あっ!!今日は早かったね」
声をかけるとマイキーはパッと嬉しそうな顔をして立ち上がって近寄ってきた
「うん、今日は講義少しだけ早かったの」
「そっか、今日はどこに行く?俺ね…」
「あっ!いたいたっ!っ!」
マイキーの声を遮るように声をかけられ 振り向くとそこには華蓮が少し小走りで近付いてきた
「あのねっ、無理だとは思ったんだけど今日って予定入ってる?」
珍しく予定を聞いてくる華蓮には首を傾げた
ずっと一緒にいる華蓮はが先に約束していた予定を優先するという事を知っている筈だ
「あのね、今日学科の人達と飲み会があるんだけど男の人達も何人かいて…それで…」
言いかけて華蓮は後方にいるマイキーに気が付くと続きを話すのをピタリと止めた
「あっ…と ごめん、マイキーくんと予定があるよね?」
申し訳無さそうな顔の華蓮にマイキーは見せつけるようににギュッと抱きついた
「そうそう、は俺と今からデートなの ね?」
「え?…あの…」
後ろから抱きつかれて戸惑う様な表情のを見て華蓮はニマニマと2人を見た
「ごめんねぇ、お邪魔みたいだったようで」
「分かってんなら声掛けんなよ 華蓮」
その瞬間 の顔がピクっと僅かに動いた
「だって気が付かなかったんだもん 見えてたら声を掛けなか…?」
の様子に気が付いた華蓮はマイキーとの会話を止めてを心配そうに見た
「?具合でも悪いの?大丈夫?」
いつもより大人しく腕に収まっているに異変を感じたマイキーは焦っての顔を覗き込んだ