第8章 どんな君も=佐野万次郎
〜マイキー視点〜
最近、の様子が何だか変だ
別に怒ってるのかといえばそうじゃないし嫌がっている訳でもない
もしかして顔に出ていないだけ!?
それでも俺が誘えば快い返事をくれるし 至って普通といえば普通だ
だけどささいなスキンシップにもビクっと反応する
意識してくれてそうなるのなら嬉しいんだけど 明らかにそうじゃないような気がする
ケンチン達に相談しても「気の所為じゃね?」とか「お前が所構わずベタベタしすぎるからだろ」とかしか返って来ない
確かにベタベタしすぎたとは思ってるよ、だけどこうやって意思表示しねーと始まらないと思った
初めて彼女を見たときはこんなに綺麗な男がいるのかと思った だけどそれはすぐに勘違いだと気が付く
立ち姿、長い睫毛 何よりエマに見せたあの笑顔
瞬時に自分の心が“彼女”と訴えていた
あの時からずっと目を引く人物であった
考えるより先に行動に移す潔さも
誰かの為に頑張る姿も
甘い物好きなのに隠しきれていない程目を輝かせる姿も
これは必然だろ というくらいにどんどん惹かれた
だからのちょっとした変化にも敏感になってしまった俺は最近のよそよそしい態度に不安が拭いきれなかった
まさか自分がこんなにのめり込むなんて想像もしていなかった
それほど彼女の存在は大きくなっていた
早く顔が見たい
早く声が聞きたい
早く2人で帰りたい
そう思うと心が自然と弾ませながら今日も約束をして彼女のいる大学へと足を向けるのだった