第8章 どんな君も=佐野万次郎
それから何日かしてはいつもの様に帰る準備をして構内を歩いていたらチョイチョイと服の裾を引っ張られる感じがして振り向いた
「えと…あの…」
どこかで見たことはある だけどは良く思い出せないでいた
「あと…ガイダンスの時…はありがとうございました…」
「ガイダンス…あぁ!あの時の 具合は大丈夫だった?」
思い出した様にそう話すに女の子は少しビクビクとしながらコクコクと頷いた
「あの後気分は大丈夫だった?」
「は…はい、お陰様ですぐに良くなって」
そう話す彼女は居心地悪そうに視線を泳がせていた
「あー…大した事なかったなら良かった、それじゃあワタシはこれで…」
そう言って立ち去ろうとするの腕を慌てるようにガシっと掴まれた
「待って!今、『ワタシ』って言った?」
「え?あー…こんな格好しているけど女なので…」
彼女の言葉には愛想笑いをしながら返すと目の前にいる彼女は あからさまに ほっとしたような表情をした
は驚かれたりするリアクションは多々あるが、このようなリアクションは初めてであった
それから彼女は打って変わってお礼がしたいとグイグイ詰め寄ってきたのでは根負けして近くのコーヒーショップでコーヒーをご馳走になった
話を良く聞くと彼女 華蓮は小中高一貫の女子校にいた為か男の人とどう接していいのか緊張してわからなくなるそうだ
が居合わせた あのガイダンスの時も隣が男子学生だったようで緊張で具合が悪くなってしまったらしい
そこにたまたま近くにいたが気が付いたのだと
「あの時は本当に貴女が女性でも男性でも気にならないくらい余裕がなくて…保健室に連れて行ってくれてやっと落ち着いたら貴女はもういなくて…」
申し訳無さそうに言う華蓮には気にしないでと笑った
「でも、これからの学校生活大変じゃない?」
あまり異性との交流に慣れていない華蓮にとって今後の生活は大変なのではないかとは思った