第8章 どんな君も=佐野万次郎
それからはマイキーに集会に誘われては見学に行くことが何度かあった
そのお陰であの集団やマイキーの友人達と打ち解けて来た
その度に毎回マイキーくんが送ろうとしてくれているのを頑なに拒否した
折角の友人達との時間を蔑ろにしてはいけないから
は友人との付き合いは最も大切だと基準を置いている だから自分の中で存在が大きい相手に誘われても先に約束をしていた相手が最優先なのだ
その事をマイキーに真面目な顔をして説明すると「友達思いのは可愛い!」と どこに可愛い要素があるのか皆無だったがもう反論するのも無駄だとは悟った
ホントに可愛い可愛いと連呼してくるのはマイキーくらいだった
こんな どこからどう見てもパッと見 青年にしか見えない姿を見ているのに毎回マイキーはの事を『可愛い』と言い続ける
あんまり『可愛い』を連呼されると段々と周りのキラキラした女の子と同じ様な感じがして何ともむず痒い
女性なんだけど 普段あまり女性寄りで扱われたことがないから少し戸惑う自分もいるのだけどマイキーくんと一緒にいるのは嫌いじゃなくなっている
ある日、マイキーはと帰ろうと約束を取り付けていたので大学の前で壁にもたれて待っていた
「あれ?君は確かマイキー…くん?だよね?」
名前を呼ばれてマイキーは視線を声の主の方へ向けるとそこには以前、にべったりと張り付いていたボブヘアの女の子が立っていた
「あー…え〜と…」
「ちょっと〜忘れないでよ の友達の華蓮だよ 今日もあの子と待ち合わせ?」
「そうだけど…?」
「あの子今、教授に呼ばれてるから30分くらいかかるかもよ」
同じ授業に出ていたらしく 先程見た光景を説明すると その言葉を聞いてマイキーはポケットから携帯を取り出すとディスプレイを確認した
「あっ、ホントだ メール来てた」
から送られてきた『ごめん、ちょっと遅れる』というメッセージを確認すると再びポケットに携帯をしまう仕草を華蓮と名乗った女の子はじーっと見ていた
「…ねぇ、ちょっとお茶しない?」
「は?」
にっこりと笑う彼女にマイキーは怪訝な表情を向けた