第2章 居場所=三ツ谷隆
(…温かいご飯久し振り…。)
出来立てでホコホコと湯気の立つ料理に感動していた
そんな感動をよそにルナとマナは美味しそうにフォークで食べていた
「ほら、遠慮せずに食えよ」
自分の分の皿を手に持ちながら三ツ谷はの向かい側に腰を下ろすと「いただきます」と手を合わせながら食べ始めた
「…頂きます」
つられるように手を合わせてお皿に盛られたナポリタンを口に入れるとケチャップの優しい味が口一杯に広がった
「…美味しい…」
ほうっとため息をつくように口から零れた言葉に三ツ谷は満足そうに笑った
「そんな風に言われると嬉し…えっ?」
を見て三ツ谷の言葉が止まって目が丸くなっていた
「あれ?姉ちゃん、どこか痛いの?」
右側に座っていたルナが心配そうに顔を覗き込んでいた
「何か悲しいことがあったの?」
左側に座っていたマナも心配そうな顔を向けている
何故みんなそんな顔をしているのか分からなかったが頬に冷たいものが落ちていくのに気が付いて自分が涙を流している事にやっと気が付く
「あ…ははっ、ご飯が美味しくて感動しちゃった」
慌てて涙を拭って明るくそう言うと3人はほっとしたような顔をした
「泣くほど感動してくれたなんて作ったかいがあったな」
「み…三ツ谷くんはいつもこうやってご飯作ってるの?」
「あぁ、俺んとこは母親がいつも帰りが遅いから必然的にな」
フォークをクルクルと回しながら話す三ツ谷に「へぇ、じゃあ家と同じだ」とは零した
「さんの所も家事はさんがしてるのか?」
そう聞き返してくる三ツ谷にはフルフルと首を横に振った
「ううん、家事は基本的にハウスキーパーさんが来てくれるの、母は海外出張が多いから」
「はぁ、ハウスキーパーかぁ…さんの家は凄いんだな」
「うん、とても助かってるの」
三ツ谷の感心したように言う言葉には複雑そうな顔をして笑った
その時はまだどうしてそんな顔をして笑うのかを三ツ谷は理解をしていなかった