第8章 どんな君も=佐野万次郎
「ねぇ、これ食べて」
「え?」
マイキーがパクパクとパフェを頬張っている姿をコーヒーを飲みながら眺めていると視線に気が付いたのかマイキーの手が突然ピタリと止まり、カランとスプーンを入れたままの方へパフェを押しやった
「俺 もうお腹いっぱい」
「ええっ…食べ切れるから頼んだんじゃないの?」
「さっきはそう思ったんだけど半分手伝って」
「…しょうがないなぁ…」
ブツブツ言いながらパフェを受け取るをマイキーはにこにこと見ている
「うっ…このイチゴ甘いね」
「美味い?」
「美味しいとかは置いといてボクはマイキーくんの残りを手伝っているんだからね」
「うん、ありがとー」
ブツブツ言い訳を言いながら口にパフェを運ぶの様子にマイキーは目を細めた
きっと彼女は甘いものが好きなのだろう そう思ったのは先程の出来事
一つ目は若い母親を手助けした後にじーっとお店を見ていたこと
二つ目はを見つめていたお店と似たようなお店に入ってメニューを見ていたときに食い入るように見つめていたページに乗っていたスイーツ
あんだけ見つめていたのに頼んだのはアイスコーヒーだったから周りに甘いもの好きだと知られたくないのかなと思い 自分が食べるんだと言ってパフェを頼んだ
運ばれてきたパフェをじーっと見ていたので確信した
本当はこんなパフェなんて全部食べ切れる自信はある
けど美味しそうに食べるも見てみたくなって「お腹いっぱい」だと嘘をついた
仕方なさそうな言い方をしながらも食べるの目はキラキラしている きっと美味しいのだろう
言わなくても顔がそう物語っていた
あっという間にグラスを空にしたは口直しをするかのようにアイスコーヒーに口を付けた
「こういうお店は行かないの?」
「ん?あぁ、友達とかと行くかな?」
う〜んと考え込みながら(まぁ、甘い物なんて頼まないけどね)などと言葉を飲み込んだ
「友達といえば…マイキーくんはこの時間は友達と遊んだりしないの?」
最近ほとんどの所へと赴いているマイキーに友達がいないのか?と僅かに心配そうに眉根を寄せた