第8章 どんな君も=佐野万次郎
懐かれた そう感じたのはあの日から1週間たってからだった
「おーい、」
そう言って大学の門の前でブンブンと手を振っているのは先日助けた女の子、佐野エマちゃんのお兄さん 佐野万次郎だった
何故こんなにも興味を持たれたのかは分からない
あの日を境に毎日の様にああやって門の前で待っている
そもそもこんな容姿の自分に懐いてくるのが不思議で堪らなかった
もしかしてお兄ちゃん感覚!?それならば納得がいく
自分で言うのもなんだけどそこら辺の男の子より幾分顔は整っている
それは父親が外国籍だという事と父親似のスラリとしたこの長身のせいだろう
「あの…佐野くん?」
「マイキーって呼んでよ それより学校終わったんだろ?一緒に帰ろ」
嬉しそうに寄ってくる姿は悪い気はしない
弟がいたらこんな感じなのかなぁと思った
「折角迎えに来てくれてるんだから帰ろうかな?」
「よしっ、じゃあ帰ろう」
急かす様にぐいぐいと袖を引っ張ってくるマイキーに思わず小さく笑ってが歩き出そうとすると後ろから声が掛けられた
「あれ?王子くんもう帰るの?」
そう呼び止めたのは先日顔を合わせたボブヘアの女の子だった
「あ、うん わざわざ迎えに来てくれたから」
そういうに不服そうに口を尖らせて袖を引っ張った
「え〜、最近王子くんってば付き合い悪い〜今日は久し振りにデートしようかと思ってたのにぃ」
言いながら残念そうな口ぶりの彼女に「ごめんね」と申し訳無さそうに笑うに「じゃあ今度はデートしてね」と念を押すように約束を取り付けていた
「っていうか女の子同士なんだから『デート』じゃなくて『買い物』じゃね?」
ズバっと指摘するマイキーにボブヘアの女の子は顔をマイキーに向けると顔をしかめた
「いいじゃない、ちょっとくらい言い方を変えても」