第7章 先手=松野千冬
勢いで出た言葉は止まることを知らずに勢い良く口に出してしまった
「…さんはあの2人のどっちかが好きなんですか?」
「…えっ?」
「…あっ!!」
思わず口から出てしまった言葉には目を丸くした
千冬は「しまった!」というような顔をに向けて両手で口を覆った
数秒沈黙が流れた 数字に置き換えると5秒程だったのだが千冬にとってはそれ以上に長く長く感じた
千冬の突然の言葉にの口はポカーンと空いたままで少しの間、シン…と静まり返った
「あの…千冬くん?取り敢えず座ろうか?」
「あっ!すいませんっ」
勢い良く立ち上がっていた千冬を見上げてがそう言うと千冬は慌ててストンと座り直した
「それで千冬くんの言った 圭介みたいになりたいってどーゆーこと?」
「えっ?だってさんは場地さんや一虎くんみたいにカッケェ男が好きなんですよね?」
は更に聞き返してくる千冬の言葉を頭で反芻すると ようやく千冬の言っている『好き』の意味を理解した
「ちょっちょっと千冬くんっ!確かに圭介達は好きだけど君が思っている『好き』と私が思っている『好き』は違うから!」
「…違う…んすか?」
「私が思っている圭介達の『好き』は兄妹みたいな『好き』であって千冬くんの考えてる『好き』とは別物だと思うんだけど…」
「えっ!?あっ俺はてっきり…!」
片手で口元を覆い、やってしまったという表情には小さく笑った
「まぁ確かに何だかんだで圭介は優しいし一虎は性格にちょっと問題ありだけとイケメンだしね」
の言葉に千冬はぐっと言葉に詰まる
「それに、千冬くんは圭介達みたいになる必要なんてないよ」
それはあの2人みたいになるのは到底無理だと遠回しに言われているのか
「だって千冬くんは千冬くんでしょう?」