第7章 先手=松野千冬
自分の分のコーヒーとココアを自動販売機で買ってくると千冬はの元へといそいそと駆け寄った
ロビーに設置されているちょっとしたスペースにあるテーブルとソファには機嫌良く腰を落ち着けていた
「さん、どうぞ」
「ありがとう千冬くん あっ、ジュース代」
「これくらい全然いいっすよ」
「そう?じゃあ遠慮なく」
財布から小銭を出そうと手をかけたに千冬が慌ててそう返すと「いただきます」とお礼を告げてカキッとプルタブを開けて口を付けた
「お土産ってそれだけですか?」
「えっ?そうだけど何で?」
キョトンとした顔を向けながらそう返すに千冬は慌てて言葉を濁した
「いやっ!その…場地さんが…そう!さんは珍しい買い物が好きだって言ってたんで!」
「あっ!もしかして圭介に言われたんでしょう?私が変なものを買う癖があるって」
むぅっと拗ねたような顔をするを見て「そんな顔も可愛いな」なんて思いながらも慌てて弁解する
「そんな事は言ってないっすよ!」
「まぁ、圭介が何言ったのかは聞かないけど 私を見張りに付いてきたのは傷つくなぁ…」
「わわっ!見張りだなんてとんでもない!」
わざとらしそうに悲しそうな顔を千冬に向けるを見て本気で焦ったような表情の千冬がいた
「ふふっ…冗談 はい、あ〜ん」
向かい側であたふたとしている千冬にはレジで買ったクッキーを袋から1つ取り出してそのまま千冬の口元へと持って行く
「なっ…えっ!?」
突然の出来事に千冬の顔がみるみる赤くなっていく
「ほらほら〜口を開けて〜」
まさかの夢のようなシチュエーションに千冬はアワアワと戸惑う
これは!少女マンガとかに出てくる胸キュンシーンなんじゃないか!こんな機会 今を逃すときっと訪れない!と頭の中で瞬時に悟った千冬は目の前のクッキーをパクっと口に入れた
「…あ、やべ」