第7章 先手=松野千冬
何故こんなにもお土産を見に行くくらいで嫌がるのかは分からなかったが千冬に丸投げされたのは確かだ
「ちょっと〜私の誘いを断るっての?いいもん!千冬くんと仲良く行くから!後で欲しくなっても分けてあげないんだから!」
プイッとそっぽを向くと千冬に向かって「行こう!千冬くん」と言って先に行ってしまった
返事をする間もなく行ってしまったと場地を千冬は交互に見ながら戸惑った顔をした
「千冬 頼むわ」
軽く手を上げて行ってらっしゃいと言うように手を振る場地に「じゃあ、行ってきます…」と背を向けた
「あ、そうそうの奴 旅行に行くと必ず変なモノ選ぶから注意しててくれよ」
背中越しに聞こえた声に「了解です!」と千冬は元気良く答えて部屋を飛び出した
理由は何であれと2人でいられるのは千冬にとっては最高の気分だった
「さんっ!」
先に着いていたは もう土産物屋で色々と物色していた
「あっ、千冬くんどっちがいいと思う?」
そう言って見せてきたのは旅行には定番の温泉饅頭とご当地クッキーだった
「職場に持って行こうと思ってるんだけどさ」
う〜んと悩んでいる様子に先程の場地の言葉を思い出したが別にこれといって変なものを選んでいるようには見えなかった
「えと…若い人が多いんでしたら そっちのクッキーかなと」
指をさして答える千冬に頷くように「そっか!そうだよね!こっちにする」と笑顔で答えた
「ちょっと買ってくる〜」と弾んだ声に「行ってらっしゃい」と言うと軽い足取りでレジへと向かって行った
場地と一虎が嫌そうな顔を覗かせていたから どんだけ長い買い物なんだと覚悟していたが
そんな事は全くなく 寧ろパパッと決めてしまう程 決断が早い
「ねぇ、レジ横にあったクッキー買ったからちょっと一緒にお茶しようよ」
パタパタと戻って来たは袋からゴソゴソと小さな袋に詰められたクッキーを取り出して見せると千冬にニコリと笑いかけた
「あっ、じゃあ俺なんか買ってきますよ 何がいいですか?」
「う〜ん、ココアがいいな」
「わかりました!」機嫌よく自販機に走ると目当ての飲み物のボタンを押した
もう少し一緒に過ごせるんだと思うと心が弾んだ