第6章 距離の温度=羽宮一虎
「えっ?あ、おはよう 朝から元気だね千冬くん」
いきなり予想外の大声で挨拶されては少しだけ肩を揺らした
「おい、声がデケーんだよ ちゃんと寝れたか?」
「え?う…うん ちょっと寝すぎたかな?ごめんね遅くなって」
「気にすんなよ どうせ今から朝飯だから」
遅く来たの事を気遣って言ってくれる場地には嬉しそうに微笑んだ
「あれ?さん珍しく髪を纏めてるんすね」
「あ、うん 朝風呂に入ってきたから髪を上げてるだけなんだけどね」
朝にが目が覚めると横にはもう一虎の姿はなくて 何となく寂しさを感じていたら テーブルに『ゆっくり風呂に入って来い』とだけ書かれたメモがあった
はメモを大事そうに握ると書かれた通り ゆっくり朝風呂へと赴いた
「朝風呂気持ち良かったっすか?いつものポニーテールも似合うけど纏めただけもまた…」
の周りをクルッと一周しながら そう口にする千冬であったがその言葉は途中でピタリと止まった
「?千冬くん?どうしたの?」
「へっ!?はっ、あの!」
が心配そうに千冬の顔を覗き込むと何故だか顔が真っ赤な千冬と目が合った
すると千冬は近くにいた場地の服の裾を引っ張り耳元でコソコソと何かを耳打ちしていた
場地は千冬が耳元で聞いた言葉に顔を青くすると素早くの肩をガシッと掴んだ
「えっ?えっ?一体何!?」
千冬の行動にも場地の行動にも理解が出来ないは戸惑った目で場地を見た
「…お前…気が付いてねーのか?」
「は?だから何?朝っぱらなら何でそんなに深刻そうなの?」
本当に分からないというような顔をして場地を見つめているに場地は大きなため息をついた
「…おい、千冬」
「はい、場地さんっ」
名前だけで理解したのか 千冬は返事をするとカシャっとシャッターの音がした