第6章 距離の温度＝羽宮一虎

その鼓動の速さに同じくらいに緊張しているんだと思ったら少し肩の力が抜けた


「ふふっ…一虎も一緒なんだね」


その事実が嬉しくて思わずは小さく笑いを溢してしまった


「…お前、俺をなんだと思ってるわけ？」


「…………。」


「何となく分かったわ…」


ハァァと一虎は小さくため息を付くとギュッとを再度抱き締め直した


「あっ、そういえばさっき何で見て見ぬ振りしたんだよ」


「…え〜…見て見ぬ振りなんかしてないもん」


先程の事を思い出したように一虎は少し不機嫌そうにに言った



「折角の事を待ってたのに酷くね？」


「だってまさか一虎が待ってるなんて思ってなかったし…それに女の子に囲まれて楽しそうだったし…」


「ふ〜ん、楽しそうに見えたんだ　その割には俺に触ろうとしてた女の手なんか掴んじゃって…」


「そ…それはっ！」


「それは？」


の言葉の続きを急かすようにオウム返しする一虎には観念した様に小さくため息をついた


「私だってそんなに軽々しく触れないのに他の女の子が触るのは何か嫌だなぁ…って…」


一虎は『ヤキモチ』の言葉が聞ければ満足だった　だけど実際の口から出たのは『独占欲』とも取れる言葉に鼓動が大きく跳ねた


「お…お前　俺を殺す気か…」


「はぁ？何変なこと言って…」


「んな可愛いこと言われたら俺の心臓が保たない」


小さく呟かれた言葉には思わずプッと吹き出してしまった


「おい、何笑ってんだよ」


「ふふっ…だっていつも強気な一虎の口からそんな言葉が出るんだもん」