第6章 距離の温度=羽宮一虎
「なぁ、」
「ん?なに?」
だけどこのままずっと変わらなかったら仲のいい幼馴染みのまんまだと一虎は自分に言い聞かせると意を決したように口を開いた
「俺達って付き合い始めて1年近く経つよな」
「え?あ…まぁそうだね?」
一虎のいきなりな発言には思わず首を傾げながら疑問形で返した
「お前はこのままでいいの?」
「このまま?」
一虎の言っている意味がわからなかった
「付き合ってんのにこのままお手て繋いでるだけの距離」
「そ…それは…」
一虎が言っている事が理解出来たはふいっと目を逸らした
本当はもう少し恋人らしい雰囲気を出したい
だけどまだの中では気恥ずかしくて勇気が出ないのが現状
「それはその…追々…」
「追々っていつまで?後何年経ったら追々じゃなくなるの?」
いきなりどうしたのだろう?今までこんなにぐいぐいと言ってきたことはなかった一虎には戸惑いを隠せなかった
「俺はさ、ずっと幼馴染でいたからお互いに気恥ずかしくて何も進まないってのは分かってんだよ それに、正直居心地がいいのも本当」
それはも同じ様に感じていた だから一虎からこう言葉で言われると気持ちにズシンと伸し掛かる
「お互いさ、一歩踏み込むことに躊躇してんだよな きっと考えてることは一緒の癖して」
きっと一虎の言う『一緒』はこの関係を進めたい だけど『居心地のいい距離』が崩れるかもしれないという戸惑いをお互いに感じている
「でもさ、いい機会だと思うんだよ」
「え?何が?」
「恋人としての居心地の良さを知るいい機会」
そういうと一虎はノソっと立ち上がり、へと近付いた
「か…一虎?ーっきゃわっ!」
急に近寄ってきた一虎には戸惑いの目を向けると一虎はいきなりを横抱きにした