第5章 近くにいすぎて=場地圭介編
は受け取ったコーヒーの缶をマジマジと眺めると そっと口を付けた
「甘い…」
コーヒーは苦いものだと勝手に認識していたは喉を通っていった甘い味に新しい発見とばかりに目を輝かせた
周りの友人達は良く好んでコーヒーを飲んでいた
の中でコーヒーは苦いと頭にインプットされているから進んで飲もうとも思わなかった
だからこの先も別に飲むような機会はないと思っていた
だけど、今日はどうしても飲んでみたかった
圭介と千冬が仲良く半分こしてコーヒーを飲んでいるのを想像したらも真似してみたくなった
飲めるようになったらも圭介と半分こ出来るような気がして
「コーヒーなんて飲み慣れないだろ?」
普段、紅茶や緑茶ばかり飲んでいるのを知っているからこそ急に飲みたいなんて言い出した事に心配を隠せなかった
「甘くて飲めない事はないけど…進んでは飲まないかも…」
飲み慣れない味に僅かに眉を寄せて缶を返してくるに思わず圭介は笑ってしまった
「大体急にコーヒー飲みたいなんて言い出してどうしたんだよ」
笑いながらコーヒーに口を付ける圭介には小さく口を尖らせて拗ねたような視線を向けた
「…だってコーヒー飲めるようになったら千冬くんみたいに圭介と半分こ 出来るかと思って…」
の言葉に圭介は思わず口にしていたコーヒーを吹き出す所だった
だってそんな事…まさか…でも…まるで…
「…千冬にヤキモチ妬いてるみてぇ…」
「……っ!!!」
思わず零れてしまった圭介の言葉にはハッと気が付いたように勢い良く下を向く
「わ…悪ぃ!気分悪くしちまったか!?」
の仕草に慌てて謝ろうとした圭介だが 目の前のの様子にピタッと動きが止まる
目の前にいる彼女は下を向いたまま ぷるぷると震えていた 首筋を真っ赤に染めて…
(これって照れてるんじゃ…)
は昔から恥ずかしがったり照れたりすると顔を隠す癖があった だけど首筋がすぐに赤くなるから隠してもバレバレなのである