第5章 近くにいすぎて=場地圭介編
「ほら、喉乾いてたんだろう?」
「あっ、ありがと」
あの後、達が訪れたのはライトアップされた庭園に備え付けられているベンチの1画であった
圭介はをベンチへと座らせると「待ってろ」と言って闇に消え 戻って来た圭介の手には小さなペットボトルを持っていた
「お茶でいいだろ?」
そう言いながら圭介はペキっとペットボトルの蓋を回すとへと渡した
「…こういうとこホントズルいよね…」
「あ?何か言ったか?」
「…別に」
緩くなったペットボトルの蓋を取るとはコクリとひと口飲んだ 冷たいお茶が喉を潤して気持ちがいい
圭介は無自覚なんだろうけどさり気ない優しさを時折見せる
その優しさは限定なのか はたまた他の女の子にもそうなのかと そんな考えがぐるぐると頭の中を駆け巡るが 圭介の性格からして後者だろう
は圭介をチラリと見たあとに周りの景色をゆっくりと眺めた
ライトアップされた木々や紅葉の赤や黄色がキラキラと光って幻想的だ
こんなにゆっくりした時間を過ごせるのは久々だ
「涼しいね…」
「あんまり風に当たって体が冷えるといけねーから もう少ししたら戻るぞ」
「はーい…あれ?圭介コーヒーはブラックじゃなかったっけ?」
保護者みたいな言い方をする圭介に目を向けると缶コーヒーに口を付けている姿が目に入った
「ん?あぁ、千冬と良く半分こして飲むから癖が付いちまったんだな」
アイツ ブラック飲めねーんだよなと嬉しそうに話す圭介に少し羨ましさが湧いた
「コーヒー美味しい?」
「そうだなぁ、これは砂糖入ってっから比較的に甘ぇーぞ?」
缶に口を付けながら話す圭介には片手を差し出した
「…ひと口ちょーだい」
「へ?」
の突然の要求に思わずポロッと缶を落としてしまいそうになった
ここで渡してしまったらいわゆる間接キ…いやいや!多分本人はそんな事微塵も思っていないだろう
圭介は深く考える事は止めてに手渡した
受け取ったは一瞬 嬉しそうな顔をしたように見えたのは圭介の見間違いなのか、はたまた願望なのか