第5章 近くにいすぎて=場地圭介編
場地目線
「あの…場地さん、いいんスか?」
「あっ?何がだよ」
夕食後 がバタバタと部屋に戻るのを見届けた後に千冬が戸惑いがちに聞いてきた
「さんの浴衣姿 他の奴等に見せたくないから露天風呂にしたんスよね?」
千冬の的確な指摘に圭介は動揺を隠せなかった
「おまっ!えっ!?何言ってるんだよ!」
「…わかり易いんスよ」
あからさまに動揺している圭介を見て千冬は深いため息をついた
「はぁぁぁ 場地さん、俺が言うのもなんですけどさん微塵も気が付いてないですよ」
「気が付いてないって何をだよ」
「さん、場地さんが好きだって事 全く気が付いてないですよ」
「そうなんだよなぁ…」
千冬の言葉に圭介はガシガシと頭を掻く
「…って!何で知ってんだよ!」
頭を掻く仕草をピタッと止めて千冬をバッと見た
「気付かれないとでも思ってたんですか?みんな気が付いてますよ」
気が付いていないのは当人同士だけってね〜と軽く付け足すように言う千冬を見て圭介は頭を抱えた
今回の旅行だってと旅行に行ってみたかったから『社員旅行だ』なんて言って社員でも何でもないを無理矢理理由をつけて誘った
この旅行で何かアクションを起こすべきか悩んだが、
どうしてもそんなタイミングもなく時間だけが過ぎていった
昔からずっと変わらず側にいる いつしか可愛くて可愛くて仕方なくなっていた
初めは この感情はあまりに近すぎて身内みたいな感情なのかと思ったが 彼女の仕草や表情に『恋』という感情だと気が付いたのはお互いに社会人になってから
今までは当たり前のように会っていたのにお互いの仕事が忙しいと1週間は会えなかった
その時に気が付いた に会えないのは『寂しい』『顔が見たい』『声が聞きたい』
そう思ってしまったのなら『好きだ』と思うのには時間は掛からなかった