第5章 近くにいすぎて=場地圭介編
「っていうか風呂に行くなら行くって言えよな」
一緒に行ったのにとブツブツ言う圭介に
「だって私のお風呂は長いし…待ってて貰うのも悪いし…」
と小さく言うと圭介は小さくため息をつくとポンっとの頭に手を置いた
「そんくらい待つし、っていうかお前なんで羽織り着てねーんだよ」
「え?だって暑いしすぐに部屋に戻ろうと思ってたから…」
浴衣の上に羽織物を着ている圭介とは違っての格好は浴衣だけに加えて髪を纏めているから妙に色っぽい
「そんな格好してるから変なのに声掛けられるんだよ」
「いやぁビックリしちゃった さすが旅行マジック 私でも声を掛けられるレベルになるんだねぇ」
言いながらは あははっと笑った
「はどんな格好でも可愛いと…思う」
「…へ?」
予想外の言葉にはピタッと動きを止めた
初めて圭介の口からそんな褒め言葉が出て嬉しいやらむず痒いやらよく分からない感情が駆け巡った
「取り敢えずコレ着てろっ!」
言いながら圭介は自分の着ていた羽織りを脱ぐとの肩に掛けた
「えっ!いいよ!暑いから大丈夫だって」
慌てて圭介が掛けてくれた羽織を返そうとすると脱げないようにガシっと両肩を掴まれた
「着てろ!湯冷めすんだろーが」
「…はい」
圭介の有無を言わさないような物言いには素直に頷いていた
「少しだけなら外で一緒に涼んでやらなくもない」
「す…涼む!」
ボソリと呟いた圭介の言葉に食い付くようにが答えると圭介は「おう、じゃあ行くぞ」と笑って先を歩き出した
は肩に掛かった羽織にちゃんと袖を通して着ると圭介の後ろをパタパタと走った