第5章 近くにいすぎて=場地圭介編
大浴場に着いては普段滅多にこんな大きな湯船に浸かることはそうそうないから思い切り広々としたお風呂を満喫した
あまりにもお風呂に浸かりすぎたので体がポカポカと温かい いや暑いくらいだった
「なんか冷たいのを飲みたいなぁ」
そう言いながら何か自動販売機で飲もうかとキョロキョロと自販機を探していると後ろから声をかけられた
「おネーさん 誰か探してんの?」
声をかけられて振り向くと そこにはよりほんの少し若そうな2人組の男の子が立っていた
「あ…えと…自動販売機を…」
突然の事には戸惑いがちにそう答えると
男の子達はにこにこと距離を詰めてきた
「喉乾いてたの?あ、そうだ飲み物奢るから俺達とちょっと話さない?」
「いや…結構です…」
やたらグイグイと来る2人に後ずさりするに気にする様子もなく近付いてくる
「またまたぁ、お風呂上がりで暑いでしょ?ほら、首筋が紅…」
言いながらの首筋に手を伸ばそうとしてきたので咄嗟に手を払おうと身構えるもその手は目の前でピタッと止まった
「…触んな」
ガシっと男の手を掴んで凄んでいたのは浴衣姿の圭介であった
「圭介っ!」
「あ?何だよ、いきなり来て…「あ"ぁ?」
腕をいきなり掴まれた男は睨むように圭介に視線を向けるが圭介の怒りの顔に一瞬で怯んだ
「おいっ、もう行こうぜ」
腕を掴まれた男の肩をもう片方の男が慌てるように言うと「チッ」と小さく舌打ちすると掴まれた腕を払い逃げるようにその場を去っていった
取り残された2人の間に微妙な空気が流れた
「…何してたんだよ」
微妙な空気を破ったのは圭介だった
「え?何ってお風呂…」
「…じゃなくて何で絡まれてんだよ」
なぜだか理不尽な言い方には僅かに眉を寄せた