第3章 三ツ谷隆〜Another〜
こんなにもポジティブに物事を置き換えてしまう人間っているんだとタケミチは思った
「…あのさ、どこをどう見たらそう思えんだよ…」
タケミチははぁぁぁと深いため息をつくと自分の顔を片手で覆った
「どこって見たら分かるだろう!髪の色やピアス!あんな格好で彼女を脅して付き合ってるに違いないだろう!」
よくもまぁ見た目だけでそこまで想像を膨らませることが出来るなとタケミチは呆れた
「それは絶対にないね 三ツ谷くんはさんの事 本当に大事に想ってるしさんだって集会にすっげー楽しそうに三ツ谷くんと来るし」
集会でのあの2人を見たらきっとそんな事は微塵にも思わないくらいに仲睦まじい
「木村はさ、さんにどんな幻想抱いてんの?」
「は?幻想って彼女は可愛くて優しくてこう…守ってあげたくなる…」
「そこが三ツ谷くんとお前の違いだと思うよ」
「…違い?」
タケミチの言葉に意味がわからないという顔を木村は向けた
「お前が言うさん像はただ表面だけを見て好きだと言ってる様なもんじゃんか 三ツ谷くんはさんの中身を大事にしてんだよ」
「そ…そんなの付き合っていく内に中身だって好きに…」
「それにさん強いよ?」
「強い?彼女が?!」
信じられないという様な顔の木村の横をタケミチは颯爽と横切った
「お前が思ってるより彼女は弱くないよ 行こう、ヒナ」
そう言うとタケミチはスタスタと歩き出した
その後を追うようにヒナはタケミチの言葉を聞いてぼーっとしている木村の横を小さく会釈しながら小走りでタケミチに駆け寄った
「あの…いいの?」
「うん?何が?」
ヒナの言葉にタケミチは顔を向けて聞き返した
「あの子…さんって強いの?」
問われた言葉にタケミチは頬を緩めた
「あぁ、あれは物理的に強いって事じゃなくて心が強いって事」
「じゃああの男の子 さんが物理的に強いって勘違いしてるんじゃ…」
心配そうな顔をしているヒナにタケミチはとぼけた顔をした
「え〜?だって勝手にそう思ったのは木村の方だし それにそう思うのはさんを表面しか見ていない証拠だろう?」