第3章 三ツ谷隆〜Another〜
次の日の放課後、は自分の靴箱の前で昨夜の三ツ谷の言葉を思い出していた
何故突然あんなことを聞いてきたのか もしかして何か困っているように見えたのだろうか?
三ツ谷の前ではそんな様子は見せないようにしていたのに
確かにここ最近、困っているというか悩んでいる
その原因は数日前に遡る
たまたま目の前で運んでいたノートの山がバサバサと落ちていったら拾ってしまうのは当たり前のことで そのちょっとした親切心がいけなかった
ノートを運んでいた男の子は慌てて廊下に散らばったノートをかき集めていて、周りは見て見ぬ振りをするか避けて通り過ぎたりしている中ではしゃがんで同じように集めだした
「えっ?あ…あの…」
「2人で集めたほうが早く終わるでしょ?」
言いながらノートを拾うに男子生徒は ぼーっとした視線を向けていたが同じように慌ててまた拾い出した
「ーはい、どうぞ」
「あの、ありがとう」
ポンっと全てを拾い終わって最後の一冊をは1番上に乗せれば「それじゃあ、これで…」と言って立ち去った
ここまではいい、その後からが問題なのだ それから数日後 の机の中には1通の手紙が入っていた『放課後話したいことがあるから教室に残っていてくれないだろうか?』と名前を添えて書いてあった
宛名には覚えのない名前 は特に深く考えもせずに書いてあった通りに教室に居残った
「良かった 残ってくれたんだね」
1人教室に残るに向かって安堵のため息をついて入って来たのは先日ノートを一緒に拾った男子生徒だった
「あの…何か用ですか?」
「あ…俺、3組の木村 佑って言うんだけど…」
そう言いながら近付いてくる木村という男子生徒には少なからず警戒した
「あっ!ごめん、急に近付いたら驚くよな 俺、この間ノート拾ってくれたお礼を改めて言いたくて…」
途中でピタリと足を止めて深々と頭を下げだした