第2章 居場所=三ツ谷隆
「…ナポリタンなら俺も手伝おうかな」
そう言うと腕の袖をまくりながらのいるキッチンへと足を向ける
「えっ!1人で作れるから大丈夫だよ」
近づいてくる三ツ谷に慌ててそう声を上げるに三ツ谷はフルフルと首を振った
「一緒に作りたいんだ…駄目かな?」
珍しくコテンと首を傾げながら聞いてくる仕草には断れるハズもなく「ソンナコトナイデス」と何故かカタコトで返してしまった
その言葉に嬉しそうに近寄ってくる三ツ谷に笑みが溢れた
「そういや、結局あの家、今は篠崎さんだけなんだろう?」
手を洗ってタオルで手を拭きながら三ツ谷はにそう問いかけた
「あ、うん 修哉兄さんはもういないから」
あの後、修哉の行いを知った両親はそれはそれは激怒して一発殴りそうな勢いだったけど既に心も体もボロボロになっていた修哉を見て全寮制の男子校へと放り込んだ
を連れ帰った後、三ツ谷がマイキーに電話で「程々にしといたよな?」と聞くと無言でブツッと電話を切られた
まぁ生きてるから程々だったのだろうと三ツ谷は決め込んだ
「香織姉さんは…まぁ家事に苦戦してるみたい」
香織は転校などする事はなかったが以前にいたハウスキーパーなどの助けは一切なくなったらしく 今まで他人に頼り切っていた家事を自分でする事になった
ただ家事と言うものを今まで一切した事がないらしく洗濯の仕方も料理も壊滅的らしい
「でもあの家 出て来ては良かったのか?」
にとっては近寄りたくない場所となってしまったが元は亡くなった母と過ごしていた思い出のある場所だ
「いいの、あそこにはもちろん思い出もあるけど ちゃんとここにもあるから」
そう言ってはそっと自分の胸に手を当てる
「思い出は心に刻むものだから」
「ん、そっか それなら良かった」
三ツ谷はの言葉を聞くと後ろから急にギュッと抱き付いた
「きゃっ!ど…どうしたの突然…」
「ん〜…ちょっと充電」
ぐりぐりとの肩に顔を押し付ける仕草にはクスリと笑った
「…隆くん可愛い…」