第2章 居場所=三ツ谷隆
「それからあれよあれよと言う間に話が進んで気が付いたら不動産屋さんで契約してるし」
今更ながらに周りの人達の迅速さには頭が下がる
「でも最終的にすっげー頑張ったのはのお父さんだろ?」
「うっ…まぁ そうだけど」
最初、不動産の担当の人は中学生の一人暮らしに渋い顔をしていた
そんな状況を悟はお得意の営業トークで必死に説得した
「最終的に隆くんが探してくれたこの物件に落ち着いて良かったよね」
「が安心安全なのは勿論だけど俺はのお父さんにもそうあって欲しかったんだ」
本を本棚に直しながら三ツ谷はポツリと言った
「パパにも?」
三ツ谷の言葉には首を傾げた
「だってが安心して暮らしてるって分かればお父さんも安心して仕事に打ち込めるだろう?」
「…隆くん…」
自分の父の事まで考えててくれる三ツ谷にはじんわりと胸が熱くなった
「あっ、そろそろお昼の時間だね」
ふと卓上の時計に目をやるとお昼を少し過ぎていたことに気が付く
「あぁ、もうそんな時間か 作るのも大変だし外に食いに行くか」
「大丈夫!私が作るから!」
ふふんと自信満々に言うに三ツ谷は ふはっと笑いを溢した
「ん、じゃあ任せる」
代わりに三ツ谷は机に乗せている荷物を邪魔にならない様に床に置いていく
は事前に冷蔵庫に入れていた食材を取り出すと器用な手つきで準備を始めた
ふとある食材を手に取ると弾んだ声で三ツ谷に声を掛けた
「ピーマン食べられる?」
「え?好き嫌いはないって知って…」
質問された言葉に不思議そうに首を傾げながら答えを返そうと口を開いたが途中でピタッと止まる
「そういや俺も最初は聞いたな」
の質問の意図に気がついた三ツ谷は嬉しそうに笑った
「あれ?覚えてた?」
クスクスと笑いながらピーマンを見せるに三ツ谷は思い出すかのように目を細めた
初めて三ツ谷がに料理を振る舞った際に同じ事をに聞いた事がつい最近の様に思える