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心をさらったあなたへ【鬼滅の刃/不死川実弥】

第2章 心をさらったあなたへ






於 鬼殺隊本部




「実弥の具合は、どうかな」

「はい。現在は眠っていらっしゃいますが怪我による熱が出ており、点滴を続けております。
ひとまず、今すぐにお命に関わることはないと思われます」

「そうかい。ありがとう」

「……今回の治療にあたり…私達の用いる手法で最も強い『口結び』を施しました。
怪我の状態から、極めて緊急性が高いと判断したためです。」

「何か気がかりなことがあるのかな」

「…はい。私は…不死川様のお命を危険に晒し続けている状態です。」

「もう少し詳しく教えてもらえるかい」

「端的に申し上げれば、このまま眠り続け、滋養が取れないことにより体が機能を停止する可能性があるということです。
私共の『水癒』の力についてはご存知ですね?」


お館様が静かに頷く


「不死川様の場合、腹部からの多量の出血と激しい痛みにより、あのまま治療を行うことは治療をしない事と同等の危険がありました。
呼吸でギリギリのところで出血は抑えられていましたので、縫合を優先するため痛みを感じない深さまでの深い『眠り』の力を注ぎました」


無意識に、左腕に強く爪を立てていた


「懸念事項は二つございます。
まず、口結びが非常に強い力であること。
そして不死川様が鍛錬を積まれた風の性質をお持ちであるということです。

この手法は、術者との粘膜同士の接触であることから皮膚よりも瞬時に、強い効果をもたらします。
私は、損傷し大量の血を失ったお体に濃い水竜の力を注ぎました。強い力は効果とともに…危険を伴います。
力を注がれた体は、いわば異物であるその力とも戦わねばならぬからです。
加えて、研ぎ澄まされた不純物の少ない性質にはより強く作用します。

眠りにより傷を縫い合わせることはできましたが、あれほどまで弱ったお体が口結びの力に耐えて目覚めることができるのか、正直に申し上げまして可能性は…五分五分といったところです。」



沈黙が痛い。



「千聡」

「っ、はい」

「ありがとう」

「…私は…」

「千聡にも辛い決断だっただろう。
実弥は、強い子だ。これからも実弥をよろしく頼むよ。」









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