第2章 心をさらったあなたへ
涙と陽の光が満ちる飴色と距離が近づいて、ふわりと触れ合う
かさなる吐息を数えるように、何度も、何度も
「…っ」
塩辛かったそれが甘く溶けた頃、ゆっくりと離れた
間近で見つめあった瞳が嬉しそうに細められ、大粒の涙がまた白い頬を滑り落ちる
「本当、に…?」
赤い目元に口付けると、千聡は閉じた瞳のまま、また俺の胸に身を預けた
温かい体は、もう震えていなかった
「…わかってると思うがやっぱ言っとく。
好きだァ、千聡。」
腕の中の温みを壊さぬように、二度と手放さぬように
包帯の巻かれた左腕を伝ってひんやりした指を絡める
「俺を選んでくれるか」
「……んん…」
「…あぁ?」
……すぅ…すぅ…
「…忘れてた…」
コイツこういう奴だった…
無言の答えを伝えてくる緩やかな呼吸音を寝台に寝かせる
隣に座って穏やかな寝顔を眺めながら
繋いだままの指先の温かさを感じていると
砂浜の足跡を波がまっさらにするように心が凪いでいく
指先の主が奏でる心地よい潮騒と共に、満たされた時間に束の間身を委ねた