• テキストサイズ

心をさらったあなたへ【鬼滅の刃/不死川実弥】

第2章 心をさらったあなたへ





しばらくそのまま俯いていた千聡は、思い切ったように顔を上げた


「恥ずかしついでにひとつ、お願い聞いてもらえませんか…?」

「なんだァ」

「もう一回、ぎゅってしてほしいです」

「…本気か?」

「はい」


背中に手を伸ばして引き寄せると、びくりと体を揺らした


「やっぱ怖ェだろ」

「不死川さんなら、怖くありません。
あの時は気づかなかったんですが、かなり乱暴にサラシを取られたみたいで、ぐるっと擦り傷みたいになって…ちょっと痛かっただけです」


緩めた腕を引き留めるように、千聡の手に力がこもった


「…こわかった……」


もう一度そっと引き寄せた体は、小さく震えていた
しばらくそうしていると、腕の中で千聡が身じろぎをした


「ありがとうございます。もう「なァ、お前はまだ俺の”担当医”か?」」

「…?そうですね」



ーーー俺は、選んでもいいんだろうか

明日をも知れぬ身で
誰かと共に生きることを
望んでもいいんだろうか



「じゃあ、俺はお前の何だ?」

「え…?」

「俺は」



いや、答えはもうとっくに決まってたのかもなァ


「何の口実もなしに、お前を守れる立場が欲しい」


隊服の背をぎゅっと掴まれた

顔を押しつけられた胸のあたりがじわりと温かくなったのは
千聡の涙か、それとも別の何かか。

傷に触らないよう肩のあたりをそっと撫でると、顔を上げた千聡とふと目があった




/ 39ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp