第2章 心をさらったあなたへ
どん!!と壁に体を押さえつけられる
目を開けると、身なりはだらしなく、髪も酷く乱れた二人の男が私を囲んでいた
「女の子が夜の一人歩きは危ないねぇ?」
「俺らとちょっと遊んでくれよ」
「…離して」
「つれないこと言うなよ…な?」
両手を頭上で纏められ、男の手がざわりと着物の中に侵入してきた
「ひっ…ぃや…やめて…いやっうぅっ」
もう一人の男の手が口を覆い、強引に衿をはだけさせる
「あんま騒ぐと痛くしちまうぜ?…ったく、ゆっくり楽しもうと思ったのによぉ…っぃってえ!!!」
「こんのクソ女!!」
「っ…」
口を塞いでいた男の手に噛みつき、逃げ出そうと身を捩ると、思い切り頬を張られた
男の膝が鳩尾に入り、息が詰まった。視界が明滅する。
「黙れよ。殺すぞ」
「いっ…!」
汚れてささくれだらけの手が乱暴にサラシを引き解く
男の手が、舌が、肌の上を這う感覚に全身が総毛立った
「っいや、だ、離して…ッ…たすけて…実弥、さん……」
「さねみさん、だぁ?ガキみてえな顔して人妻か」
「ひひっ、最高じゃん…」
男の手が再び伸びてきてぎゅっと目をつむった時
二度鈍い音がしてあたりが一瞬静かになったかと思うと、すぐにまた腕を掴まれた
「いや!っいや…!」
逃げたくても、足に力が入らない。
ずるずると壁を背にへたり込みながら、その手を振り払おうと目を閉じてがむしゃらに腕を振り回した
「千聡、…千聡!千聡!!!」
「…え…」
何度も私の名前を呼ぶ声
恐る恐る目を開けると、大きな目を血走らせた実弥さんがこちらを覗き込んでいた